研究概要 |
本研究は正則写像の複素力学系における単連結回転領域(ジーゲル円板)の境界に関する未解決問題『ジーゲル円板の境界はいつジョルダン曲線になるか?』に焦点を絞り,複素解析・解析数論・力学系理論等を用いて,この未解決問題にアプローチする研究である. 本年度は回転数が有界型のジーゲル円板を持つ超越整函数について研究を行った.近年,回転数が有界型である有理関数のジーゲル円板の境界は擬円周(すなわち,ジョルダン曲線)となっていることが証明されている.研究代表者は特別な超越整函数に対して同様の結果,『回転数が有界型のジーゲル円板の境界は擬円周である』を得た.またその系として,考察した特別な超越整函数の対数持ち上げは境界が擬円周である遊走領域を持つことが分かった. 研究の成果は(1)2009年日本数学会秋季総合分科会(大阪大学,9月)及び(2)複素力学系とその関連分野の総合的研究(京都大学,12月)にて研究報告を行った.また,研究分野に関連する研究集会及びセミナーに参加し,情報交換・研究打ち合わせを行い,そこで得た情報を研究に役立てた
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