研究課題
パンルヴェ微分方程式やガルニエ系等,所謂,モノドロミー保存変形方程式,あるいはその q-離散類似(総称してパンルヴェ型方程式)についての研究を行った。UC階層とは,KP階層の持つ正の重みの時間発展に対し,負の重みの時間発展を備えた自然な拡張である無限次元可積分系である。平成24年度は,引き続き,UC階層に由来する(パンルヴェ第6方程式やガルニエ系を含む)非線形偏微分方程式系について研究を進めた。この系は,UC階層の持つ相似対称性の固定点を考える簡約から得られるある種のモノドロミー保存変形を記述する多項式ハミルトン系である。系に含まれる定数パラメタが特別な値の場合,時間発展で集合として不変な部分多様体が存在する。この部分多様体は,元の相空間の丁度半分の次元の複素射影空間であり,事実,ガウスの超幾何函数のある一般化によって,その特殊解(リッカチ解)は具体的に記述されるということが,本研究内において明らかになった(津田照久,Quart.J.Math. 2012, 63号に掲載)。なお,現れる特殊函数は,ガウスの超幾何函数の良く知られた多変数化と高階化を巧く補間するものであり,その剛性や接続問題,特殊値の数論的研究等の様々な問題を提起している。今回は新たに,当該の超幾何系の解の基本系として、性質の良い行列函数を得る事ができた。例えば、定数項が三角行列から始まる無限級数であること,積分表示に現れる有理微分形式とサイクルが,巡回的に表されていることなどがあり,今後応用も期待される。また,超幾何解に付随するフックス型線形常微分方程式は,可約となり,その波動函数はやはり超幾何函数に関係したスティルチェス測度による(コーシー核)積分表示を持つ。この現象を端緒に,直交多項式や有理函数近似の理論との繋がりが明らかにした。これについても現在論文を準備中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Journal fur die reine und angewandte Mathematik
巻: not yet fixed ページ: 31pages
The Quarterly Journal of Mathematics
巻: 63 ページ: 489--505
doi:10.1093/qmath/haq040
International Journal of Mathematics
巻: 23 ページ: 1250019(59pp)
doi:10.1142/s029167x11007537