研究概要 |
今年度は,多くの研究者との研究連絡を通し,様々な結果を出すことができた. まず,交付申請書の「研究実施計画」に挙げたRohlinの性質をどのように単位的でないC^*環に拡張するべきかを調べた.この過程で重要だったのは,単位的でないC^*環に対しては中心的列環の定義を慎重にしなければいけないという点であった.同様にしてZ-stabilityやapproximate divisibilityといった性質に対しても,どのように単位的でないC^*環に拡張するべきかを調べた.この成果はイギリスで行われた研究集会で発表した. 次に,Eilers氏と共同で単位的なグラフC^*環がいつsemiprojectiveという性質をもつかを完全に決定することに成功した.その応用として,10年以上も未解決であったsemipro jective C^*環に関する問題を2つ解くことに成功した.1つは拡大に関する問題であり,もう1つは遺伝的環に関する問題である.この成果はスペインを始め多くの地で発表した.これらの結果は2本の論文にまとめ近々雑誌に投稿する予定である.また,Eilers氏,Tomforde氏,West氏と共同でグラフC^*環の分類理論に関する結果を出した.この結果は交付申請書の「研究の目的」に書いた「存在性問題」に関する結果である.この結果もすでに論文にまとめてあるので近々雑誌に投稿する.最後に,Copenhagenにいる数名の研究者とともにグラフC^*環の分類理論に対する「一意性問題」に関する研究を始め,いくつかの部分的な結果を得た.この研究に関しては,まだ調べるべきことがあるのでそれらを調べたうえで論文にまとめて発表する予定である.
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