本研究では、IRSF1.4m望遠鏡と近赤外線3色カメラSIRIUSを用いて得られる高角度分解能の近赤外線観測データを用い、マゼラン雲の固有運動を探る。今年度は本研究遂行1年目として、IRSF/SIRIUSを用いてマゼラン雲の再観測をおこなった。 私は、2002年~2006年におこなったIRSFマゼラン雲近赤外線カタログ(Kato et al. 2007)から近赤外線の色を基に数千個の銀河候補を選び出し、それらの銀河が存在する視野を特定した。そして、2010年1月5日~2010年2月3日の約1ヶ月間、南アフリカ天文台サザーランド観測所に滞在して大マゼラン雲の再観測をおこなった。 IRSF/SIRIUSはおよそ7分角の視野を持つ。本研究ではマゼラン雲の再観測を1000視野程度(約13平方度)おこなう計画であり、今年度はその半分の500視野(約6.5平方度)の観測を計画していた。実際には、現地の天候が良くなかったために目標の500視野には届かなかったものの、そのおよそ半分にあたる約250視野(約3平方度)の観測データを取得することに成功した。これだけのデータがあれば、研究計画で述べた目標に近い精度でマゼラン雲の固有運動を測定することが充分に可能である。 来年度は、固有運動測定に必要なソフトウェアの開発をおこない、今年度に取得したデータを用いて固有運動の算出を目指す。また、再び1ヶ月程度、現地に滞在してマゼラン雲の再観測をおこない、本研究の遂行に必要な観測データの取得を引き続きおこなう。
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