グレートアトラクター(GA)は、近傍宇宙で最大の重力集中であり、我々の住む天の川銀河を含む多くの銀河の特異運動の源になっていると考えられている。GAは天の川の背後に存在すると考えられており、可視光線による観測では手前に位置する天の川に存在する星間塵による減光効果により、背後を見通すことができない。このため、星間塵による減光がより少ない近赤外線による探査が重要である。 私は前年度までにGAが存在するとされる方向の37平方度に対して、近赤外線による銀河探査を行った。その結果、4630個の銀河を発見し、カタログにしてきた。 平成22年度はこれらの銀河の分布状況を調べ、また、同じ近赤外線による全天掃天観測である2MASSと銀河の明るさごとの数の比較を行った。その結果、Kバンド(波長2.2μm)の、9-12等付近に全天平均に比べ、数倍以上の銀河数の超過があることを見出した。 この超過は、観測領域内の既知の銀河団を除いた後にも存在する。9-12等という明るさは、GAが存在するとされる50Mpcに存在する典型的な銀河の明るさとよく一致する。このため、超過する銀河はGAを構成するメンバーである可能性が高い。 来年度は、この超過のGAの質量に対する貢献を定量化し、論文として出版する。
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