グレートアトラクター(GA)は、近傍宇宙で最大の重力集中であり、我々の住む天の川銀河を含む多くの銀河の特異運動の源になっていると考えられている。GAは天の川の背後に存在すると考えられており、可視光線による観測では手前に位置する天の川に存在する星間塵による減光効果により、背後を見通すことができない。このため、星間塵による減光がより少ない近赤外線による探査が重要である。 私は前年度までにGAが存在するとされる方向の37平方度に対して、近赤外線による銀河探査を行った。その結果、4630個の銀河を発見し、カタログにしてきた。また、これらの銀河の分布状況を調べ、また、同じ近赤外線による全天掃天観測である2囲SSと銀河の明るさごとの数の比較を行った。その結果、Kバンド(波長2.2μm)の、9-12等付近に全天平均に比べ、数倍以上の銀河数の超過があることを見出してきた。 本年は、この銀河団に対する定量的な評価を行った。 この超過が予測されているGAの距離付近での銀河の集中によると仮定すると、既知の銀河団、および、本研究で検出した銀河超過の合計質量は~4×10^<15>M太陽質量である。この値は、HIによる銀河探査(~2×10^<15>M太陽質量)やX線銀河団の分布(~2×10^<15>M太陽質量)をもとにした予測と近い値であり、1980-90年代の上記の古い予測に対しては1桁小さい。ごの結果を日本天文学会春季年会において発表した。この結果は、さらに査読つき論文誌に投稿する予定である。
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