研究概要 |
惑星系形成過程において原始惑星系円盤の氷ダストは様々な重要な役割を担うと理論的に考えられている。しかしながら、観測的な困難から原始惑星系円盤における氷ダストの検出は限られており、ましてや円盤におけるスノーラインの場所は観測的にほとんど分かっていない。 我々は近赤外線域において、円盤散乱光スペクトルから氷ダストめ検出とスノーラノンの位置に制限を与える新しい観測手法を考案し(lnoue Honda, et al.2008,PASJ)、実際の観測でその手法の有効性を示してきた(Honda et al.2009,ApJ, 690,110)。昨年度はさらに、別め中質量前主系列星AB Aurの原始惑星系円盤についても同様の観測を試みようとしたが、すばる望遠鏡においてA036の運用が終了したため、代わりにIRC+A0188を用いた観測を試みた。しかしながらコロナグラフ観測装置ではないため、明るい中心星近傍の星周円盤からの散乱光を検出することができなかった。 そこで、我々はすばる望遠鏡以外の8mクラス望遠鏡に搭載されている波長5μm程度まで感度を持つAOありコロナグラフ装置を探した。その結果、Gemini South望遠鏡に搭載されている近赤外コロナグラフ撮像装置NICIが該当することが判明した。ただし、NICIには我々の観測に必要であるH20 iceフィルタ(中心波長3.05μmの狭帯域フィルタ)が搭載されていなかったため、このフィルタを新規に作成し、現在NICI装置グループの協力により搭載したところである。今後はこのフィルタめ性能評価をするとともに、当初の近赤外多色撮像観測による円盤氷タスト分布の解明を進め、スノーラインの位置に制限を与えていく予定である。
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