日本の赤外線天文衛星「あかり」と、NASAが打ち上げたSpitzer宇宙望遠鏡のデータを使い、大小マゼラン雲中の赤色巨星に関して主に次のような事柄を明らかにした。1. 大マゼラン雲中のミラ型星の周期光度関係には、周期450日程度の所で折れ曲がりがある。2. ミラ型星の星周減光則について初めて定量的な議論を行い、短周期ミラと長周期ミラでは星周減光則が異なる事、そして長周期ミラの星周減光則が、星間減光則に近づいてゆく事。前者の発見は天体の距離をより精度良く求める事に役立つ。また、後者の発見は赤色巨星が銀河の中の物質循環にどのような形で貢献しているかを知る手がかりとなる。
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