今年度、私は日本の巨大望遠鏡であるすばる望遠鏡を用いて、近傍銀河の中間赤外撮像観測を2回に渡って行った。 本研究では、銀河中心核を極めて高い空間分解能で撮像することにより、その主たる光源が星形成活動にあるのか、あるいは中心ブラックホールへのガス降着にあるのかを探った。この目的を達成するためには、中間赤外領域だけでなく、X線、可視、電波領域のフラックスを総合的に比較することにより、銀河中心核の真のスペクトルを知る必要がある。地上望遠鏡を用いた中間赤外線観測の空間分解能はおよそ0.35~0.45秒ほどであり、宇宙望遠鏡による観測よりも約10倍優れている。 これらの観測をもとに、現在私は2本の論文を執筆している。イギリスのブリストル大学と米国のハーバード大学を訪れ、共同研究者と論文について議論することにより、うち一本の論文についてはまもなく完成する見込みである。さらに本研究を、イギリスのケンブリッジ大学および、日本の国立天文台で開催された研究会において発表し、高い評価を得た。サンプルの更なる増加を目的とした新規観測提案も、再びすばる望遠鏡およびGemini望遠鏡(いずれも10メートル級望遠鏡)で採択されており、本研究の今後の展望は極めて明るいといえる。
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