近年の実験技術および理論手法の飛躍的進展により、これまでの原子核物理の概念を打ち破る可能性のある領域としてドリップライン近傍核の研究が進められている。本研究では原子核構造を核力の寄与とその影響によるコア核の構造変化および非束縛状態の役割という観点から解き明かすことが目的である。平成22年度では、これまで進めてきたM-schemeによるCluster-orbital shell model (COSM)とそれがもたらすコア励起との関係について着目し、研究を進めてきた。 ドリップライン近傍核の中でも、酸素同位体(^<23>O、^<24>O)は、比較的大きな中性子束縛エネルギーを持ち、かつハロー核と同等の核半径の広がりを示す。そこで、ドリップラインを再現するような相互作用を用いつつ、核半径とコア核との関係を調べた。それにより、^<23>Oおよび^<24>Oについては、価核子の数に依存する形でコア核の構造が急激に変化する必要があり、その大きさはコア核が平均場で示唆されるコアの広がりを大きく超えた値であることを示した。
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