研究概要 |
開弦の場の理論を閉弦の自由度を加えることなく矛盾なく量子化できるかという問題は、弦理論の基本的な自由度を探求する上で重要な問題である。開弦の場の理論はゲージ理論であるため、量子化する際にはゲージ固定が必要になる。ボゾニックな開弦の場の理論のゲージ固定については良く研究されてきており、相互作用がある場合は通常のBRST量子化は困難で、Batalin-Vilkovisky形式に基づくゲージ固定がなされている。しかし、ボゾニックな弦理論ではタキオンが存在するため、量子化は形式的なものにならざるを得ず、超弦理論を考えることが必要になる。Berkovitsが定式化した超弦の開弦の場の理論に関しては、1995年に定式化されて以来、ゲージ固定の研究はほとんどなされていなかった。今年度、研究室の大学院生である鳥居氏とともにBerkovitsが定式化した超弦の開弦の場の理論のゲージ固定に取り組み、相互作用がない場合についてはゲージ固定に成功した。ボゾニソクな開弦の場の理論のゲージ固定では無限種類のゴースト場が必要であったが、Berkovitsの超弦の開弦の場の理論においてはpictureと呼ばれる量子数の存在およびそれに付随したゲージ対称性により、さらに複雑なゴーストの構造になっている。今回、相互作用がない場合のゲージ固定を行うことでその構造を解明に成功した。相互作用を含んだ場合にはBatalin-Vilkovisky形式を用いる必要があり、Berkovits, Kroyter, Schnabl, Zwiebach,鳥居氏と共同でマスター方程式の解の構成に取り組んでいる。また、タキオン凝縮の動的過程の解析が非常に簡単化するボゾニックな開弦の場の理論の新たなゲージでの解析解をSoler, Kiermaierと共同で構成し、論文を執筆中である。
|