本研究の大きな目標は、準安定荷電粒子の初期宇宙論およびLHC現象論を切り口として、標準模型を超えた物理を探索する事である。準安定荷電粒子を含む魅力的な理論としては超対称性理論がある。 超対称性模型で長寿命スタウが存在する場合に、特にLHCで荷電トラックが折れ曲がるkinkシグナルが現れる場合についての検証可能性、およびその素粒子模型、宇宙論への示唆について研究した。素粒子模型としては(i)グラビティーノがLSPでスタウがNLSPである場合、(ii)スタウが(N)LSPで、Rパリティがわずかに破れている場合、の2つを考えた。解析の結果、スタウの崩壊長(光速×寿命)が0(0.01m~100m)であればkinkシグナルが発見され得ることが分かった。さらにスタウが崩壊した先の粒子によって素粒子模型を区別する可能性についても議論した。 2011年度はLHCにおいて大きな進展があった。特に、これまでのATLASとCMSの様々な崩壊過程の探索結果で、ヒッグス粒子の質量として124から126GeVの領域を示しているものが複数あることが報告された。 これを受けて、125GeVのヒッグス粒子を含む素粒子模型の構築及びその現象論について研究を行った。
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