統一理論の候補となる弦理論から、実験で検証された標準模型を正確に再現することはできていない。また、無数の真空解を持つため、弦理論の予言能力が疑問視されている。これらの困難は、弦理論の非摂動論的な効果に対する理解が不足していることに起因する。ここでは、弦理論やM理論の非摂動論的な効果の理解と素粒子標準模型の導出を目指して、ゲージ理論による弦理論の記述の研究を行った。研究期間を通じて取り組んだ具体的なテーマは、(1)膜理論の行列模型の解析、(2)ヘテロ弦理論によるE6大統一理論の導出、(3) su(2| 2)光円錐型弦の場の理論の構成、(4) AdS/CFTヤンギアン対称性の理解である。
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