インフレーションモデルは大きく分けて二つに分けられる。一つ目は軽い場(質量がハッブルパラメータよりも十分小さい)がインフレーションを起こす場だけの場合(single field model)であり、二つ目はインフレーションを起こす場以外にも軽い場が存在する場合(multiple field model)である。しかしながら、超弦理論や超重力理論においては、インフレーションを起こす場以外にも多くの場が存在し、しかもその質量は一般にハッブルパラメータと同じくらいである。このような新しいクラス(quasi-single field modelと呼ばれる)のインフレーションに対して、近年のeffective field theory approachを用いて解析を行った。対称性(time-dependent spatial diffeomorphism invariance)から許される項を書き下し、それに基づいてハッブルパラメータ程度の質量を持った場が与える曲率揺らぎのパワースペクトルへの影響を解析的、数値的両方の手段を用いて評価した。 また、曲率揺らぎの非ガウス性を調べるために、バイスペクトルのsqueezed limitの運動量依存性を明らかにした。さらに、ハッブルパラメータよりも十分重い場の影響も議論し、音速や3点相互作用へ影響を与えることをeffective field theoryの見地から明らかにした。
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