研究概要 |
自己重力系をはじめとした長距離力系では,緩和時間が非常に長いことが知られている.また,長距離力系で緩和に向かう途中段階で,初期条件に依らず,時間的変化が非常にゆっくりとした準平衡状態が存在する場合がしばしばみられる.この準平衡状態を記述する方法を,統計力学の立場からの解析的手法,およびGPUなどのプロセッサを用いて高速化したN体粒子シミュレーションの両方を用いて検証した.この結果,自己重力系についてはLangevin方程式を用いた手法で,Kingモデルと呼ばれる密度分布を再現できることを示した.また,長距離力系の簡単なモデルである二次元HMFモデルについて,比熱が負のエネルギースケールでは,準平衡状態が非加法的エントロピーを最大にする分布でフィットできることを示した.一方で,比熱が負のエネルギースケールでは,非加法的エントロピーを最大にする分布関数でフィッティングはできなかった.
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