研究概要 |
1.He同位体の構造:テンソル最適化殻模型(TOSM)を用いてHe同位体(^4He-^8He)の構造とテンソル力の関係を調べた。相互作用には自由空間の核力とテンソル力を含まない有効核力の2種類を用い、結果の比較からテンソル力の効果を議論した。テンソル力を含む核力を用いた場合は、励起スペクトルの再現性が良く、実験値との対応や理論的予言を行うことができた。一方、中心力とLS力のみの有効核力の場合は励起スペクトルの再現性は悪かった。これらの結果からテンソル力があらわに作る状態依存性が浮き彫りになり、その必然性が示された。 2.Li同位体の構造:テンソル最適化殻模型(TOSM)を用いてLi同位体(^5Li^<-9>Li)の構造とテンソル力の関係を調べた。相互作用には自由空間の核力を用いた。^6Liではp殻を占有する核子について、LS結合的な様相が強い結果となった。これはスピン量子数1の重陽子を含むα+β的な構造と強く関係することも示唆された。^7Li,^8Li,^9Liではむしろjj結合的になり、一体場的な軌道準位を核子が占有していることが分かった。 3.陽子過剰核の共鳴構造:陽子過剰核の共鳴構造、および中性子過剰核との鏡映対称性を調べた。対象核は^7Bであり、α+3陽子の模型により4体共鳴状態を求めた。その結果、^7Bの基底状態では、その鏡映核である中性子過剰核^7Heとの鏡映対称性が破れていることが示された。原因は^7Bに働くクーロン力が生む斥力と陽子放出のしきい値に起因することが分かった。
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