研究概要 |
本研究の目的は、次世代型重力波検出器のために、量子非破壊計測の開発を行い、世界で初めて輻射圧雑音の観測と低減を行うことである。本研究では、質量20mgの超軽量鏡を用いて、輻射圧雑音の影響を増幅し、その検出を容易にするという、世界でも類を見ない独創的な手法を用いる。 実験セットアップでは、光の輻射圧雑音を観測するために、光の輻射圧を大きくしている。この時、光共振器内での光の輻射圧の反バネ効果により、鏡が回転方向に揺らされることが確認できる。この効果は、次世代型重力波検出器でも問題なることが理論的に予測されている。本実験でこの理論の正しさを証明することは、本研究だけではなく、次世代重力波検出器のためにも貢献できる重要な結果となる。そこで、本年度の研究実施計画の1つ目として、この効果を測定し論文に投稿することにした。結果、この測定は成功し、論文はS Sakata et al., Phys. Rev. D 81, 064023 (2010)に掲載された。 2つ目の研究実施計画は、光のパワーを増幅させると、この測定された輻射圧による効果により、難しくなる鏡の姿勢制御を解決するために、感度と制御の両点を考慮して見つけ出し、実験的に証明することである。この解決策は、本研究の目標の輻射圧雑音の観測と低減を実現するために、最も重要な技術となる。その解決方法として、実験セットアップの制御系のブロックダイアグラムと伝達関数を用いて計算を行い、その計算結果から、超軽量鏡に曲率を付けて共振器を組むことを決めた。今後は、この方法に基いて実験を開始し、輻射圧による効果の制御を行う。
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