原子核の殻進化を定量的かつ簡単な形で記述する普遍的な有効相互作用を提唱した。殻進化のスピン依存性を主に担うテンソルカは生の核力で良く、また、ノード数依存性を主に担う中心力部分はガウス型相互作用によって様々な繰り込み効果を現象論的に取り入れられることを見っけた。この普遍的有効相互作用をsd-pf殻の主殻間相互作用に適用することにより、主殻間励起を含まないsd-pf殻における統一的有効相互作用を構築した。これを用いて中性子数28領域の中性子過剰核の核構造を系統的に計算した結果、普遍的相互作用の殻進化を強く反映した核構造を非常に定量的に再現することに成功した。例えば、^<42>Siにおける大きな変形や、^<48>Caから-陽子をピックアップした反応で得られる分光学的因子の分布は、テンソルカと中心力がともにd_<3/2>軌道を強く安定化することによって初めて説明できるものであることを明らかにした。さらに、この相互作用を用いて、中性子数28を超える不安定核における殻構造を探る研究に着手した。中性子数が28を超えると、陽子軌道は再びs_<1/2>軌道が安定化することを予言した。この性質は、従来のポテンシャル描像では説明できないものであり、二体力起源の殻進化描像特有の性質である。 中性子数20領域の魔法数消滅に関する研究を主に国内外の実験と共同で行った。^<31>Neの中性子ハロー構造生成、^<24>Oにおける中性子数16魔法数の安定性など重要な発見に対し、理論的な立場から貢献した。
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