研究課題
これまで進めた^<12>Beの研究から、その高励起領域には、二つのα粒子をコアとし、その周りで過剰中性子が共有、原子、イオン結合に類似した様々な化学結合的配位を形成しており、更に対応する準位群は、強い縮退性を持って共存することが明らかになった。こうした化学結合状態の縮退現象は、中性子の分離エネルギーの小さいドリップライン近傍核に系統的に発現する可能性が極めて高い。こうした背景を踏まえ、より一般の系の高励起状態の縮退現象の研究を展開すべく、模型の改良を進めた。本研究で採用される一般化二中心クラスター模型は、二中心系の周りでの中性子のイオン、原子、共有結合構造を包括して記述可能な模型である。この模型では原子軌道基底の線形結合により多体系の基底を構成する。これまでの^<12>Beの計算では基底構築を解析的に行っていたが、粒子数の増加に伴い、この解析的な取り扱いは非常に困難になる。そこで、数値計算により系統的に基底構成を行う計算プログラムの開発を進めた。この技術開発によって、一般の系への模型適用が可能になり、昨年度は重いBe同位体^<14>Be=α+α+4N、^<16>Be=α+α+6N系の研究に着手した。現在、励起エネルギーの変化に伴う化学結合構造の変化、また^6He+^8Heの散乱過程に発現する共鳴現象の分析を進めている段階である。またこれらのBe同位体の系統分析の成果は、昨年度5月にクロアチアで開催される国際会議「Nuclear Structure and Dynamics」、同年10月にハワイで開催された「日米合同物理学会」で招待講演として発表している。また同時に関連した成果を論文として数編発表している。
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Proceeding of HNP09, (World Scientific) (In press)
Modern Physics Letters A (In press)
AIP conference proceedings (In press)
AIP Conference Proceedings 1165
ページ: 293-298