研究概要 |
陽子過剰な不安定Ni,Ge同位体の陽子捕獲反応断面積の決定に欠かせない陽子-重イオン同時測定用のストリップ電極付きシリコン半導体検出器の回路システムの最適化を行った。本研究で用いる検出器のストリップ電極は間隔が0.2mmと狭く、さらにそのチャネル数も検出器1枚につき380チャネルと非常に多い。そのため本研究に用いる回路システムは電気的雑音の最小化に加えて、回路の小型化と隣り合うストリップ電極からの信号同士の干渉を最小化するような物でなくてはならない。 本研究ではまず雑音の最小化のテストを行った。不安定Ni,Ge同位体のクーロン分解反応によって生成される反応生成粒子の検出器中でのエネルギー損失は150 keVから200 MeVと幅が非常に広い。そのため低いエネルギー損失をする粒子の測定は雑音が多い場合は困難となる。そこで全回路システムを真空中に入れ、雑音増加の原因の一つであるケーブルの長さを最小化することとした。さらに小型化を達成するために、小型のコネクタと集積率の高いケーブルの導入を検討した。測定した雑音特性からフレキシブルプリント基板と携帯電話用極細同軸ケーブルを導入する候補とした。さらにこれらのケーブルを用いた条件下で信号干渉を最小化する条件を検討した。そのためには使用するプリアンプの前に用いるカップリングコンデンサに約5nF程度の物を利用する必要があることがわかった。これに加えケーブル中での干渉を防ぐため、ケープルに銅シールドを施した物を使うことした。 ケーブルにフレキシブルプリント基板を用いるか携帯電話用同軸ケーブルを用いるかは全ての回路がそろう来年度に行う予定である。さらに全検出システムを構築し信号干渉に関するテストを行っていく予定である。
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