本格的なレーザーとの同期を取った形での測定の準備段階で終了してしまった。ファイバー導入を用いた光照射による測定は可能となった。また低分子あるいはポリマーであるが、光反応測定を行うことにより、化合物の物性あるいは光特性を特定することはできた。これらは論文あるいは学会発表の成果として報告することができた。また、分光グループとの共同研究を進め、特に光受容蛋白質であるPYP(Photoactive Yellow Protein)の光異性化から始まる構造変化過程を新しいラマン分光法による結果を得た。しかし、この測定でもNMRを用いた測定への応用につなげることはできなかった。 初年度、昨年度と報告を続けてきた、光によるスイッチング化合物については、可視領域での光スイッチングには成功したわけだが、赤外制御を目指した研究では、想定していた強い赤外発生ができず、NMR測定以前の分光測定による光反応の確認ができないままでいる。しかし、現在赤外発生の開発には成功しており、この測定については、引き続き行う予定である。 また光受容蛋白質であるLOVについては、本学理学研究科宇宙・地球科学専攻の久冨准教授との共同研究を開始しており、大腸菌での大量培養系を用いた、発色団の交換反応には成功した。さらに申請者が研究代表となり久冨准教授が研究分担者として来年度基盤Cへの採択もされたことから、本格的に測定することとなった。これまでこの若手Bで得られた成果をさらに発展させていく予定である。 さらに、NMR装置を巡る環境であるが、正式にAgilent社が本学テクノアライアンス棟に協働研究部門に拠点を作ったため距離が近づきアドバイス等々を受け易い環境となり、こちらも大いに活用していきたいと考えている。
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