研究課題
本年度は、京都大学・低温物質科学研究センターにおける15Tまでの高磁場発生用超伝導磁石を含む希釈冷凍機を用いて、トランスポート測定による分数量子ホール領域での新規な量子相の探索を継続して行った。半導体試料は、京都大学のクリーンルームでデバイス化を行った。さらに、2層の電子面のそれぞれに独立に電気的なコンタクトを取れるゲート電極の配置(2層独立コンタクト)を持つ新しいデバイス化技術の開発に引き続き取り組んだ。希釈冷凍機にデバイス化された2層系量子ホール試料を取り付け、トランスポート測定を行った。今年度は、主にトンネリング・エネルギーが1Kと非常に小さい試料を用いて、総電子密度・電子密度差を変化させ、活性化エネルギーを測定することにより、2層系ν=1及び1/3量子ホール状態について詳細に調べた。2層系ν=1量子ホール状態について、面内磁場を印加することにより、整合-非整合相転移点付近で、ソリトン格子相と見られる活性化エネルギーの極小がわずかに存在することを見出した。さらに、2重量子井戸構造を持つ半導体試料を用いて、ν=2/3量子ホール状態の動的核スピン偏極についても探索を行った。また、兵庫医科大学においても、量子ホール効果測定を行うためのGM冷凍機の運転を行い、3K程度の極低温環境の創出に成功した。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)
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