研究概要 |
立方晶でありながら四回対称軸を持たないRPd_3S_4(R :希土類)の結晶を作製し、磁化、電気抵抗率、比熱の測定、及び中性子散乱実験を行って、この系の物性に及ぼす多極子相互作用の効果を調べた。その結果、TbPd_3S_4が磁場誘起の反強四極子秩序を示すことが分かった。また、SmPd_3S_4とTbPd_3S_4が示す反強磁性転移が一次相転移的である起因が、磁気と多極子の相互作用の競合であることが明らかとなった。さらに、PrPd_3S_4が示す相転移の秩序状態として、反強磁性、又は八極子秩序の可能性が提案されていた問題に対し、反強磁性状態である可能性が高いという結果を得た。多極子相互作用に起因した物性を示す新物質の探索も並行して行った結果、10数Kという比較的高い温度で強磁性を示す正方晶化合物LnRu_2X_2B(Ln=Ce, Pr, Nd、X=Al, Ga)を発見した。
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