1. A_<n+2>Co_<n+1O_<3n+3>の^<59>Co NMR測定 NMR周波数スペクトルと核スピン-格子緩和率(T)の温度依存性を測定した。NMR周波数スペクトルの角度依存性から内部磁場の大きさと向きを決定することができた。また、ナイトシフトの温度依存性から磁気相互作用の種類を特定した。一方、T_1は磁気秩序の形成される温度よりもかなり高温から発達することがわかり、幾何学的フラストレーション効果に起因する特徴的な振る舞いを観測した。 2. Ca_3Co_4O_9の単結晶育成および酸素量を変化させた多結晶試料の作製 窒素、酸素雰囲気で熱処理あるいは急冷を行うことにより、酸素量を制御した試料の合成に成功した。酸素量の変化は、格子定数およびヨードメトリーを用いた酸化還元滴定実験により化学的に決定し、熱処理条件により酸素量が変化していることを確認した。 3. Ca_3Co_4O_9の^<59>Co NMR測定 共鳴周波数fの外部磁場依存性を測定することにより、磁気相互作用を明らかにできた。また、酸素量の異なる試料を用いた系統的な研究により、伝導を担うCoO_2面の局所磁性を検知することに成功し、キャリア量に従い、局在・遍歴電子の割合および局所磁性が変化することを見出した。
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