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2010 年度 実績報告書

有機導体におけるディラック電子系の磁気抵抗理論

研究課題

研究課題/領域番号 21740252
研究機関京都大学

研究代表者

森成 隆夫  京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (70314284)

キーワード有機導体 / ディラック電子 / 磁気抵抗
研究概要

固体中の電子は,通常の状況下では光の速度にくらべてずっと遅い速度で運動している.そのため,相対論的効果は無視することができる.しかし,結晶格子や電子間相関効果によって,むしろ相対論的な粒子として振る舞う場合がある.典型的な例が2010年のノーベル物理学賞の対象となった単層のグラファイトである,グラフェンである.グラフェンでは電子は相対論的ディラック方程式によって記述される.本研究では,グラフェンと同様に電子が相対論的なディラック電子として振る舞う,有機導体α-(BEDT-TTF)2I3について研究を行った.この系は純粋な2次元系であるグラフェンとは異なり,層構造を持つ.そのためバルクの測定が可能である.ディラック電子の特徴は,磁場下で顕著に表れる.特に電気抵抗にディラック電子系特有の振る舞いがみられる.今年度は,交付申請書に記載したように面内の磁気抵抗の理論構築を行った.実験結果をみると,磁場下での面内の電気抵抗の温度依存性は非常に複雑である.高温では温度を下げるにつれて,抵抗が減少するが,100Kくらいで抵抗が増加する振る舞いを示す.さらに温度を減少させると10Kくらいの温度領域で一定の抵抗を示す領域が現れ,2Kくらいの温度で再び増加する.この実験結果を理解するために,ディラック電子の磁場下でのエネルギースペクトルと波動関数を用いて,久保公式により計算を行った.さらに電子間の相互作用効果を乱雑位相近似の範囲で解析を行った.高温領域での抵抗の減少は主に電子間散乱効果によるものであることがわかった.また,上に述べた特徴は,ディラック電子のランダウ準位エネルギーとスピンのゼーマン分裂効果によって理解することができ,理論と実験の比較から得られたディラック電子のエネルギースペクトルに関したパラメータは,面間の磁気抵抗から得た結果と良く一致することがわかった.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Theory of in-plane magnetoresistance in two-dimensional massless Dirac fermion system2010

    • 著者名/発表者名
      Takao Morinari, Takami Tohyama
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 82 ページ: 165117-1-165117-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dirac fermions in alpha-(BEDT-TTF)(2)I-3 : Some topological properties2010

    • 著者名/発表者名
      Takao Morinari
    • 雑誌名

      Physica B

      巻: 405 ページ: S192-S194

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pressure dependence of interlayer magnetoresistance in alpha-(BEDT-TTF)(2)I-32010

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Himura, Takao Morinari, Takami Tohyama
    • 雑誌名

      Physica B

      巻: 405 ページ: S157-S159

    • 査読あり
  • [学会発表] Magnetoresistance in organic Dirac fermion system2011

    • 著者名/発表者名
      Takao Morinari
    • 学会等名
      Workshop on Dirac Electron Systems in Tsukuba 2011
    • 発表場所
      物質材料機構(つくば市)
    • 年月日
      2011-01-19

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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