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2011 年度 実績報告書

有機導体におけるディラック電子系の磁気抵抗理論

研究課題

研究課題/領域番号 21740252
研究機関京都大学

研究代表者

森成 隆夫  京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (70314284)

キーワード有機導体 / ディラック電子 / 磁気抵抗 / 圧力効果
研究概要

固体中の電子は,通常の状況下では光の速度にくらべてずっと遅い速度で運動している.そのため,相対論的効果は無視することができる.しかし,結晶格子や電子間相関効果によって,むしろ相対論的な粒子として振る舞う場合がある.典型的な例が2010年のノーベル物理学賞の対象となった単層のグラファイトである,グラフェンである.グラフェンでは電子は相対論的ディラック方程式によって記述される.本研究では,グラフェンと同様に電子が相対論的なディラック電子として振る舞う,有機導体α-(BEDT-TTF)2I3について研究を行った.この系は純粋な2次元系であるグラフェンとは異なり,層構造を持つ.そのためバルクの測定が可能である.ディラック電子の特徴は,磁場下で顕著に表れる.特に電気抵抗にディラック電子系特有の振る舞いがみられる.今年度は,交付申請書に記載したように2種類存在するディラック電子の縮退の安定性,およびθ-(BEDT-TTFO2I3のようにディラック電子と通常の電子が共存している場合の磁場下での輸送現象について研究を行った.ディラック電子の縮退については,試料端ではなく圧力効果について解析を行った.ディラック電子のハミルトニアンを特徴付けるパラメータの圧力依存性を求め,さらに2種類存在するディラック電子の縮退がとけてギャップが存在する条件をあきらかにした.θ-(BEDT-TTF)2I3系の解析では,通常の電子と共存しているために面間磁気抵抗に振動成分がくわわることが明らかになった.この結果は実験結果と整合するものである.この他,ディラック電子の局在効果について,ディラックコーンの傾きの効果について解析を行った.ディラック電子系では後方散乱がベリー位相効果によって抑制されるために,通常の電子とは異なる反局在状態であることが知られている.α-(BEDT-TTF)2I3系のディラック電子は,エネルギー分散がグラフェンの場合のように等方的な円錐ではなく傾いた円錐であることが予想されている.この傾きの効果によってディラック電子の対称性が低下し,反局在効果がさらに強められることが明らかになった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Pressure effects on Dirac fermions in α-(BEDT-TTF)_2I_32011

    • 著者名/発表者名
      T.Himura, T.Morinari, T.Tohyama
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Condensed Matter

      巻: 23 ページ: 464202-1-464202-8

    • DOI

      doi:10.1088/0953-8984/23/46/464202

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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