研究課題
酸素分子の高圧力下における物性は、過去に、構造解析実験・ラマン測定・中性子回折実験電気抵抗測定によって、1メガバールまでに及ぶ圧力領域で調べられてきた。しかし、磁化率測定磁化測定といったスタンダードな磁気測定では、0.8GPaまでの領域での実験報告があるのみである。その理由として、低温下での高圧力発生容器への液体封入技術と、上記技術とタイアップ可能な高精度磁気測定技術の融合が極めて難易度の高い実験であることが挙げられる。本研究は、そのスタンダードな磁気測定によって、酸素分子の高圧力下における磁性を探索することを目的とした。さらに、そこにナノサイズ効果を取り込むことも目指した。具体的には、ナノサイズ細孔をもつ構造体に酸素分子を吸着させ、それを一つの吸着装置として用いながら、同時にその空間自由度を制限した状態で圧力を印加し、そこでの圧力効果を探求しようとした。平成22年度は、前年度に作成した加圧装置付液体酸素封入装置の試運転をしながら、上記装置の改良を行い、標準試料を用いて5GPaまでの昇圧実験を実施した。その後、ナノ細孔を用いたときと用いていない時の両方で、最適な液体酸素の封入条件をつきとめた。そして、ナノ細孔を用いていない場合において、4GPaまでの圧力下で交流磁化率測定と直流磁化率測定を実施し、微弱な酸素分子の磁気信号検出の基盤技術を構築することに成功した。相図作成のための詳細な実験と、そのナノサイズ効果の探求は残念ながら平成23年度の課題となってしまった。しかし、これまで実験がなされてこなかった領域の実験技術を構築することができたことは、大局的に見た際、ターニングポイントとなる成果として評価できる。
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Polyhedron (DOI:10.1016/j.poly.2011.02.014)
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