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2009 年度 実績報告書

物性理論的方法による古典確率過程の解析手法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 21740283
研究機関東京大学

研究代表者

大久保 潤  東京大学, 物性研究所, 助教 (70451888)

キーワード確率過程 / 揺らぎ / Doi-Peliti法 / 化学反応系
研究概要

今年度は,主に下記のような基礎的数理手法の研究をおこなった.
1,化学反応系や生態系どを記述する確率過程に対して有効な解析手法であるDoi-Peliti法に関して研究をおこなった.Doi-Peliti法は生成・消滅演算子を用いることにより,マスター方程式と等価な式を導く方法である.この書き換えにより,物性理論で用いられるさまざまな数理的手法を応用できるようになる.特に,これまで主に発見的におこなわれていた確率過程における双対確率過程および双対関数の導出を,Doi-Peliti法を利用することにより自然に導けることを明らかにした.これは生成・消滅演算子による定式化と母関数法の等価性を利用することにして得られた.また,Doi-Peliti法におけるCole-Hopf変換についても研究を進め,大偏差関数を用いることにより粗視化されたLangevin方程式を導出できることなどを示した.
2,確率過程の動的振る舞いを記述するために有効な計数統計と呼ばれる手法に関して,経路積分を用いた定式化を導出した.具体例として2状態をもつ単純な確率過程を用い,結果として,解析力学における作用や変分原理といった概念と類似した数理的構造が見られることを明らかにした.
3,非平衡系において重要な役割を果たすことが知られている揺らぎの定理に関して研究をおこなった.これまで,確率過程における揺らぎの定理は可逆な経路を持つ過程に対してのみ導出されていた.しかし,例えば化学反応系は一般に不可逆な経路を持ち得る.ベイズの定理を用いることにより,確率過程における揺らぎの定理を非可逆な場合に一般化することに成功した.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Two Langevin equations in the Doi-Peliti formalism2010

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Itakura, Jun Ohkubo, Shin-ichi Sasa
    • 雑誌名

      J.Phys.A : Math.Theor. 43

      ページ: 125001, 1-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Posterior Probability and Fluctuation Theorem in Stochastic Processes2009

    • 著者名/発表者名
      Jun Ohkubo
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn. 78

      ページ: 123001, 1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Variational principle of counting statistics in master equations2009

    • 著者名/発表者名
      Jun Ohkubo
    • 雑誌名

      Phys.Rev.E 80

      ページ: 012101, 1-4

    • 査読あり
  • [学会発表] Doi-Peliti 法と双対確率過程および双対関数の導出2010

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      日本物理学会第65回年次大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県)
    • 年月日
      2010-03-20
  • [学会発表] Doi-Peliti 法と双対確率過程2010

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      古典および量子ダイナミックス・非平衡統計力学に関するワークショップ
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2010-02-13
  • [学会発表] Counting statistics for pump current induced by periodic perturbation2009

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      Symposium in "Frontiers in Nonequilibrium Physics"
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
    • 年月日
      20090731-20090801
  • [学会発表] 量子力学における数理的手法の古典確率過程への応用2009

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      第15回交通流のシミュレーションシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2009-12-03
  • [学会発表] Pump Current as a Signal Transformation2009

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      4th International Workshop on Natural Computing
    • 発表場所
      姫路市国際交流センター(兵庫県)
    • 年月日
      2009-09-25
  • [学会発表] ポンプカレントの計数統計と「コト」の物理学2009

    • 著者名/発表者名
      大久保潤
    • 学会等名
      科研費特定領域研究「情報統計力学の深化と展開」研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2009-07-06

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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