砂地形の代表である砂丘は風向きや砂量によって様々な形態をとる。砂丘は環境条件によって変化するために、その形態から環境条件を推測することが可能である。この方法は火星などの他惑星や深海など人類が容易に到達するととができない地域の環境条件を調べるのに有効である。特に、本研究計画の主目的である環境を変化させたときの砂丘の形態調査は、定常な環境下ではない野外観測にとっては重要である。本年度は環境変動による砂丘形態の変化を理解するために、定常状態となった砂丘形態(三日月型砂丘、横列砂丘、縦列砂丘、星形砂丘)を以前とは異なる環境条件にさらすことで変化する過程を調べた。使用した数理模型はサルテーションとアバランチを素過程とした格子模型で、計算コストを大幅に削減することができ、複雑な地形形状を容易に計算機上で再現することが可能な模型である。この模型は実験や野外観測で得られた砂丘形態を良く再現することができる。その数値実験の結果、途中過程まで含めた形態変化の全プロセスを明らかにすることに成功した。また、砂の全移動量を各時刻毎に調べることによって、横列砂丘と縦列砂丘の形成過程の違いを明らかにした。さらに、環境変動を加える事によって、それぞれの砂丘形態の崩壊過程や変形時間を測定るすことによって、個々の砂丘の安定性を調べることができることがわかった。これらの結果は国際会議等で発表され論文投稿の準備も進めている。
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