本研究の目的は、群論的手法を駆使して、多体エンタングルメントを特徴付けるmeasureを系統的に生成し、多体エンタングルメントの定量化と分類の理論を発展きせることである。 平成23年度は、平成21、22年度に開発したqubit系用のプログラムを用い、3qubit系および4qubit系のエンタングルメントmeausreの研究を進めた。3qubit系に関しては、前年度にすでにmeasureの完全系が得られることを確認していたが、23年度はさらに、高次項がどのように現れるかを調べた。高次項は、4次までに得られる普遍量の代数的な組み合わせになっており、その組み合わせの現れ方にはある程度パターンがあるが、一般次数まで完全にパターンを把握するには至らなかった。 4qubit系に関しては、系統的にmeasureを作ることは可能であるが、各不変量の間の代数的独立性の確認や、独立な不変量の選択の問題はかなり難しい。平成23年度は、qubit間の置換対称性に基づいた不変量の分類を検討したが、まだ系統的な分類を得るところまで至っていない。これは今後の課題として残されている。 Qubit以外の系に関しては、一般のSU(N)に関するクレプシュゴルダン係数を計算するプログラムを作成した。今後これを使って多状態系のエンタングルメントの研究も進めていく。
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