ガラス形成物質の非線形輸送現象(特にそのレオロジー挙動)について理論的に研究を行った。主な成果は以下のとおりである。(i)分子動力学シミュレーションにより、過冷却液体の異常粘性輸送および粘弾性特性のメソスコピック性を初めて明らかにした。この発見は動的不均一性に伴う相関構造がスローダイナミクスにおいて本質的に重要であることを強く示唆するものである。(ii)アモルファス物質の破壊現象を記述する新しい粘弾性モデルを提案した。このモデルに基づき、破壊に伴う非線形現象が密度揺らぎと変形の動的結合に起因しうることを示した。
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