液体が凝固点以下に過冷却されてもそのアモルファス構造が保持したまま動力学が凍結するガラス転移の性質について、2次元赤外分光法など非線形分光法で用いられる理論枠組みを参照し、密度場の多時間相関関数による解析をおこなった。これを過冷却液体モデルの分子動力学シミュレーションに適用し、ガラス転移点近傍において顕著な不均一ダイナミクスを特徴付ける時間スケールとその温度依存性を系統的に特定することに成功した。さらにガラス状態において粘性係数と拡散係数の間を結ぶStokes-Einstein則の破れることが知られているが、不均一性ダイナミクスの寿命によってその時間スケールを特徴付けられることを示した。
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