本研究課題では、断層破砕帯内部の微細構造を高分解能で捉え、断層破砕帯全体にわたるfault coreとdamage zoneの存在と分布形状を明らかにすることを目指す。そのために、断層の地表トレースとほぼ直交方向に列状に超稠密な地震観測網を展開し、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)の余震の波形記録を収録した・ 2008年岩手・宮城内陸地震の断層破砕帯を横断する超稠密地震計アレイ観測を実施した。観測サイトは、事前の踏査情報を基に、岩手県-関市巌美町の林道沿いに決定した。断層破砕帯の地表位置を中心に、中央部では地震計を約5m間隔で、除々に外側へ向けて設置間隔を10m、20m、40mと伸ばし、計120点の地震計を展開した。展開長は約2kmである。地震計は、固有周期10Hzの3成分一体型の速度型地震計を用いた。地震計からの出力信号は、小型の独立型レコーダー(MS2000)を用いて、サンプリングレート500Hzで電子媒体に記録した。レコーダーの内部時計は、GPSにより高精度に自動校正された。バッテリー容量の関係で、観測期間の途中でバッテリー交換することで、計約8日間にわたり連続波形記録を取得できた。観測終了後、波形データのフォーマット変換をおこない、解析の準備が整った。本年度は、この波形データの解析を進める。収録された連続波形データに対して、自然地震を検出する。その後、検出された地震のP波・S波の初動到達時刻の読み取りをおこなう予定である。
|