本研究課題では、断層破砕帯内部の微細構造を高分解能で捉え、断層破砕帯全体にわたるfault coreとdamage zoneの存在と分布形状を明らかにすることを目指す。平成22度に、断層の地表トレースとほぼ直交方向に列状に超稠密な地震観測網を展開し、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)の余震の波形記録を収録した。今年度は、収録された連続波形記録のデータ解析をおこなった。観測期間中に発生した地震の検出をおこなうために、matching filter法の計算プログラムを開発した。テンプレート地震と呼ばれる基準地震として、気象庁一元化処理震源を使用した。複数の観測点で観測されたテンプレート地震の波形(S波記録)に対して、各観測点の連続波形記録との相関係数を各時間ステップにおいて計算した。テンプレート地震の波形記録に関しては、観測点間の相対走時差を保持しながら連続記録との相関係数の計算をおこなった。各時間ステップにおいて、全観測点で得られた相関係数の総和を計算し、その値が統計学的に有意な大きさを有する場合にのみテンプレート地震と相似のイベントが発生したと考え、イベント検出をおこなった。上記の手法により検出された地震のP波・S波の初動到達時刻の読み取りをwinシステムでおこない、時刻到達データセットを作成した。
|