これまで太陽系外の惑星は,主に視線速度法やトランジット法による観測によって発見されているために,中心星のごく近傍に存在するものがほとんどである.また,太陽系外で太陽系の地球型惑星の領域に対応する領域で数多く観測されている巨大ガス惑星には,惑星間散乱を経験している可能性を示すような離心率も大きい惑星も多く含まれている. 昨年度までの研究で,観測の難しい数十AU程度に散乱過程を通じて作られる惑星の離心率と軌道傾斜角の分布がどのようなものとなるか,こうした分布がどのような物理過程を反映して形成されるかにの基本的なことは判明した.そこで今年度は,これまでの年度の数値計算結果をもとに,こうした複数惑星系の軌道進化過程の数値計算と,観測されている実際の系の安定性を数値計算との比較を行なった.特に,複数の惑星が互いに接近するような惑星系で,実際の観測からは求められないパラメーターを数多く振ることによって,どのような軌道が可能となるか,どのような質量の惑星であり得るかについて考察を行った.またいくつか特定の複数系外惑星系において軌道の傾きがどの程度の時間で変化するか数値計算結果から求め,視線速度観測やトランジット観測でどのように観測されるかについて考察を行った.
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