研究概要 |
「姉妹」衛星の実現性を調査するためのソフトウェア"c5++"の開発を推進し,高精度化および高機能化を達成した. 高精度化の面では,平成22年末にリリースされたIERS Conventions (2010)の物理モデルを導入し,衛星加速度モデル・地球回転モデル・局位置変動モデル・大気遅延モデルなどの開発を進めた.その妥当性と精度の向上は,他機関と比較したり,衛星レーザ測距の実データに適用したりして,確認することができた.さらには,最新の複数の重力場モデルも同様な方法で評価することができた. 高機能化の面では,地球の重力定数GMと同時に,地球重力場の2次以下の係数(Cnm,Snm)も推定可能なようにソフトウェアに機能を追加した.これを利用して,既存の5衛星LAGEOS-1,LAGEOS-2,AJISAI,STARLETTE,STELLAへの15年間の測距データの解析を行った.その結果,衛星の高度や軌道傾斜角によって,各係数への寄与が異なっていることを解明している.今後,仮想衛星も含めた衛星組み合わせ試験の土台ができたことになる. 本ソフトウェアは,これから,衛星軌道組み合わせと座標系パラメータ決定との関係づけのためのシミュレーション解析の中核部分として用いることとなる. 平成22年度までに実施した研究を発展させ,2012年2月に打ち上げられたLARES衛星の光学応答に関する評価も実施した.われわれが提供した値とドイツGFZによる値とが参照される形で,現在ILRS(International Laser Ranging Service)から当衛星の重心補正値が示されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精密軌道決定ソフトウェアの開発の進捗は,重力場決定機能の追加など,計画以上に進展している.また,2012年に打ちあがったLARES衛星に関する研究にも発展させた.一方で,逆反射鏡の回折パターンについては当初方針をやや変更して,実測よりもシミュレーション結果を重視する方向で検討している.
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