研究概要 |
本研究では,主としてマイクロ波着磁/消磁システムの基本的な設計・製作に取り組むことを目的としている.昨年度は,信号伝播路および共振器についてその設計と手配を行った.引き続いて,今年度は,これらの部位の試験と調整に取り組んだ.試験の結果,共振器の一部に磁性を帯びた部品が使用されており,近傍で2000~5000nTもの磁場を発生していることが判明したため,部品の作り替えと交換を行った.非磁性の部品に交換後,発生磁場が大幅に低減したことを受けて,仮システムを組み上げて共振器の試験を行った.設計値通りに17.3-18.1GHz帯でマイクロ波の鋭い吸収(共振)が確認され,システムの基本性能が満たされていることが確認された.今年度は,さらに直流磁場制御部の設計と手配,仮システムをコントロールするためのソフトの開発を行う予定であったが,これらについては次年度以降に取り組む. また,本年度は約2週間にわたりリバプール大学のショー教授の研究室を訪問し,情報交換および先方の装置による実験を行った.行った実験は「低温消磁2回マイクロ波加熱ショー法」の適用であり,アイスランドSudurdalur地域から採取された古期溶岩(約400-600万年前)から選定した7個の試料を対象とした.4個の試料から合格結果が得られ,通常加熱による方法と比較して化学変化が抑制されていることも確認された.今後,本研究計画を発展させて国内でマイクロ波着磁/消磁システムを実用化できれば,「低温消磁2回マイクロ波加熱ショー法」のルーチン的適用が可能になると期待される.
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