本年度は、海氷観測を実施し、海氷のマイクロ波輝度温度特性を測定した。また衛星搭載型マイクロ波放射計AMSR-Eによって観測された輝度温度から海氷の厚さを分類した。 海氷の厚さに対する輝度温度特性は、18GHzマイクロ波放射計(MMRS2)を購入し、平成21年度冬季に北海道サロマ湖において実験用プールを作成し、海水の状態からマイクロ波観測を行い海氷が成長するにしたがい変化する輝度温度を観測した。また、同時に海氷表面温度及び海氷表面サンプルを採取し塩分濃度を測定した。その結果、海氷の厚さと塩分濃度の関係は、これまでに得られている関係と良い一致を示した。また、成長に伴い輝度温度が上昇するという結果を得ることができだ。この結果を基に今後考察を進めていく計画である。 AMSR-Eからの厚さ分類は、18GHz水平偏波の輝度温度を用いて行った。厚さは、2003年に実施した海氷観測結果を基に分類した。その後、推定結果の検証を行った。検証のための厚さデータは、海氷上から直接測定する方法、船に設置した可視カメラから測定する方法、電磁誘導法によって測定する方法などがある。しかし、広域にわたりまた薄い海氷の厚さを測定するためにほ問題点が多い。そこで、AMSR-Eと同じ衛星に搭載されている可視画像との比較によって検証を進めた。一般的に可視域では海氷が成長するに従い反射率が高くなる。検証の結果、輝度温度180、210、240K領域では、反射率はそれそれ約0.2、0.4、0.7となった。また、両者は正の線形関係があった。このことから、それぞれ異なる過程によって観測されている両デーダを用いることで、厚さの検証精度を同上することができた。今後は、全球において比較を進めていく計画である。
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