研究課題
気温は、気象擾乱の熱力学メカニズムを考える上で重要なパラメータの一つである。これを高い時間分解能で観測できるレーダーリモートセンシング技術であるRASS(Radio Acoustic Sounding System)は、天候や昼夜に関わらず気温を推定できることから降雨を伴う激しい気象擾乱の解明に役立つことが期待されている。本課題ではRASS観測に最新のレーダーイメージング技術を適用することにより、鉛直分解能を向上させ、従来観測できなかったより微細な気温観測を可能した。昨年度開発したレンジイメージング法(Range IMaging technique:RIM)をRASSに適用するアルゴリズムでは、レーダーパルスの形状が矩形でないことによる影響を取り除くため、微細な気温プロファイルが必要である。昨年まではこれを一定の温度減率を持つ気温プロファイルを用いて補正を行っていたが、より精度の高い気温プロファイル推定を行うため、レーダーイメージングにより得られた高鉛直分解能の気温プロファイルを用いて補正を行い、さらに繰り返しレーダーイメージングを行う反復解法アルゴリズムを新開発した。また、接地境界層に発生するサーマルやプルームといった微細な擾乱は、対流圏全層に及ぶ大規模な積乱雲の発生源となっている。昨年度はウインドプロファイラを用いてこれを測定するために、1.3GHz帯ウインドプロファイラのアンテナ回転台により任意の方位角、天頂角にアンテナを向けることを可能とした。今年度は、実際に用いたRASS観測を行うためのスピーカーシステムを作成し、試験観測実験を実施した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
J.Atmos.Ocean.Tech.
巻: 28 ページ: 22-36
IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing
巻: (accepted)
J.Atmos.Solar-Terres.Phys.
ページ: doi:10.1016/j.jastp.2010.08.013
ページ: doi:10.1016/j.jastp.2010.07.010,2010
Radio Sci.
巻: 45 ページ: RS5001, doi:10.1029/2009RS004267