5次元電磁ブラソフコードをMPIライブラリにより並列化し、名古屋大学情報基盤センターに導入された新しいスーパーコンピュータシステムであるFX1とHX600を含む、東京大学T2Kオープンスパコン、九州大学SR16000及び東京工業大学TSUBAMEなどのスカラ型超並列計算機に対して計算速度のベンチマークを行った。その結果、1024並列時において、どのシステムに対しても80%以上の並列効率を達成した。また理論性能値に対して10-15%の実効効率を得た。即ち、1024並列計算において1テラフロップス以上の計算速度を得ることができた。これは、次世代スーパーコンピュータにおいて1ペタフロップスの計算速度を得るのに十分な値である。 次に、開発した超並列ブラソフコードを用いて、宇宙プラズマ中のマルチスケール過程として知られている磁気リコネクションの高解像度シミュレーションを行った。その結果、磁力線が繋ぎ変わる領域において電子密度が大きく減少し、初期イオン慣性長と同等の空間スケールまで電子慣性長が長くなることが明らかとなった。これにより、電子の運動論効果によって磁気拡散が起こる領域が、従来の電磁粒子シミュレーションによって得られる空間スケールよりも大きく広がることが分かった。これは、有限個の粒子の運動を解き進める粒子シミュレーション手法では、数値的な雑音により得られることができなかった結果であり、超並列ブラソフシミュレーションの有用性を示すことができたと言える。
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