研究課題
本年度においてはホイッスラー乱流非線形発展のプラズマβ依存性に着目し研究を行った。本研究では空間二次元のプラズマ粒子シミュレーションコードを用いることで、プラズマ粒子運動論効果を含めた乱流発展およびプラズマ粒子へのエネルギー変換過程について調べた。ホイッスラー乱流は波数スペクトル上において非等方的なエネルギーカスケードを起こす。磁場に対して垂直な波数方向へより多くのエネルギーが供給され、斜め伝搬のホイッスラー波動が乱流非線形発展において優位に励起される。これによりホイッスラー乱流はランダウ共鳴を介した電子平行加熱を引き起こし散逸する。このランダウ共鳴による波動散逸はより高プラズマβで作用しやすいため、高β領域においてホイッスラー乱流の非等方的なエネルギーカスケードが抑制され、ホイッスラー乱流の波数スペクトルはより等方的になる。この作用が電子加熱に対してフィードバックされ、高βにおいては電子の平行加熱は結果的に弱められ、より等方的に近い加熱が引き起こされるという結果が得られた。これはプラズマβによって電子加熱の傾向が変わることを示唆しており、ホイッスラー乱流による電子加熱の特徴であると言える。また、本研究ではホイッスラー乱流エネルギーからイオン運動エネルギーへの変換過程が存在することを発見した。乱流非線形発展によって励起されるイオンラーモア半径より十分小さいスケールの垂直電場が統計的な散乱の原因となっている。これによって磁場に対して垂直方向にイオンが散乱され垂直加熱が生じる。ホイッスラー波動は基本的に電子と相互変換を起こすと考えられているが、本研究において、ホイッスラー乱流発展はイオンの垂直加熱に寄与する可能性が見いだされた。
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Physics of Plasmas
巻: 19 ページ: 012312-1-012312-5
Geophysical Research Letters
巻: 38 ページ: L05101-1-L05101-4