研究課題
本研究では、極域電離圏イオンの流出過程に、電子がどのような役割を担っているかを観測的に明らかにすることを目的としている。特に、イオン流出が頻繁に起きているカスプ領域における電離圏電子に焦点を当て、熱的エネルギーレベルの大多数の電子及び、降下電子の電離によって生成された二次電子の振る舞いを欧州非干渉散乱(EISCAT)スヴァールバルレーダー(ESR)を用いて明らかにする。平成21年度には、国際極年(IPY)の2007-2008年に実施されたESRI年間連続観測データを基に、太陽極小期の静穏な電離圏状態のイオンライン及びプラズマラインデータを解析及び検証することにより、新規特別実験を実施するために必要な事前準備(具体的には、観測プログラムの設定の検討や、解析用ソフトウェア開発、データセットの整備など)を行った。さらに、極域電離圏イオンの流出過程を理解する上で重要となる(1)イオン組成(酸素イオンと水素イオン)毎の上昇フラックスの相違点や電離圏領域による違い、(2)カスプ領域内外におけるイオン上昇流/下降流の統計的性質、(3)夜側オーロラ帯で発生するイオン上昇流の太陽活動度に対する依存性、の3点についてEISCATレーダー観測から得られたデータを用いて調べ、その結果得られた研究成果を学術論文にそれぞれまとめた。
すべて 2010 2009
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