研究課題
本研究では、極域電離圏イオンの流出過程に、電子がどのような役割を担っているかを観測的に明らかにすることを目的としている。特に、イオン流出が頻繁に起きているカスプ領域における電離圏電子に焦点を当て、熱的エネルギーレベルの大多数の電子及び、降下電子の電離によって生成された二次電子の振る舞いを、欧州非干渉散乱(EISCAT)スバールバルレーダー(ESR)を用いて明らかにする。本研究用に昨年度新規開発したレーダースキャンモードを用いて、2011年12月にEISCAT特別実験を実施した。今回は降下電子を伴う極域電離圏観測データを複数取得することに成功し、得られたデータを用いた解析を行っている。特に、晴天時の観測時についてはロングイアビン・スバールバルに設置した光学機器によるオーロラ観測データも合わせ用いることにより、オーロラアークと電離圏加熱・流出との関係について詳細なデータ解析を進めている。さらに、前年度に開発したプラズマラインを精度良く導出する手法を用いて、国際極年(IPY)の2007-2008年に実施されたESR1年間連続観測データからプラズマラインデータベースの作成を進めた。このデータベースを基にした高い精度の電子密度分布及びその変動の特徴に関する研究を進めている。また、このデータを含む大容量のEISCATデータ処理及びその可視化に関する手法について学術論文にまとめ、宇宙科学情報解析論文誌に出版した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
宇宙科学情報解析論文誌
巻: (印刷中)
J. Geophys. Res.
巻: vol.116 ページ: A03313
doi:10.1029/2010JA015827
J.Geophys.Res.
巻: 116
doi:10.1029/2009JA014766