研究課題
本研究では、磁気圏現象の巨大計算を実現するための基盤技術の一つである「低数値誤差蓄積コード」の開発を目的としている。平成21年度は、数値磁気単極子(∇・B)除去法の開発、及び、惑星電磁圏-電離圏結合シミュレーション等の実問題への実装を行った。電磁圏-電離圏結合シミュレーションは、現在、リアルタイム宇宙天気シミュレーションなどにみられるように実用化の域に達しつつあるが、大規模化・高精度化を進める上で、特に惑星近傍の強磁場領域や澱み点近傍での計算反復回数の増加に伴って顕現する数値誤差の蓄積が問題となりつつある。本研究では、強磁場領域や澱み点近傍における数値誤差の蓄積を、従来の計算手法と比較して1-2桁小さく抑えるコードの開発を目標とする。平成21年度は、従来の数値磁気単極子除去法の中でも比較的誤差の蓄積が小さく適用範囲が広い双極子型除去法をベースにして開発を進めた。双曲型除去法の難点である超音速上流域への移流問題を解決するために、数値磁気単極子は逆極性のペアが出現するという性質を用いて移流の方向と速度を制御して局所的な除去を促進し、また背景流れに対する移流方向と速度の制御により補正誤差の逆流を抑え、超音速上流域や澱み点における誤差の蓄積および解の振動を低減させた。この数値誤差蓄積の低減により、惑星の電離圏内や電磁圏夜側のウェーク領域などのプラズマ対流速度が遅い領域における磁場構造をより精確に表現することに成功し、衛星観測と良く一致する結果を得た。また、一様格子上においてCT法の開発も行い、複数の数値磁気単極子除去法の比較を行った。
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Journal of Geophysical Research 114
Astrobiology 9
日本惑星科学会誌 18
ページ: 73-75