平成21年度に行った国内放送局を用いた実験結果に基づき、短波赤道横断伝播のディジタル受信システムの改良と、データ解析ソフトウェアの開発を行った。平成22年10月13日~17日に、第1回のRadio Australia放送波を用いた短波赤道横断伝播観測実験を行った。伝播距離を測定するために、受信システムの一方をRadio Australia送信所が設置されている豪州・ビクトリア州Sheppartonに設置し、基準となるRadio Australia放送波信号を取得するとともに、他方の受信システムを情報通信研究機構・大洗方向探査施設に設置し磁気赤道を越えて伝播するRadio Australia放送波を同時受信した。さらに大洗方向探査施設でRadio Australia放送波の到来方向測定を同時実験として行った。受信ソフトウェアに不具合が発生したため伝播距離の測定は残念ながら失敗となったが、電波到来方向探査の結果では多くのプラズマバブルの発生が検出された。この結果に基づき、不具合の原因を究明し受信システムの改修を行い、より安定して動作するシステムに改良した。改良したシステムを用いて第2回の短波赤道横断伝播観測実験を平成23年3月後半に実施する予定であったが、東日本大震災により大洗方向探査施設が被災したため平成23年度に延期した。平成23年4月に大洗方向探査施設が復旧したため、平成23年4月14~17日に第2回Radio Australia放送波を用いた短波赤道横断伝播観測実験を行った。本実験では伝播距離測定、電波到来方向探査ともに成功し、プラズマバブル発生時のデータ取得に成功した。
|