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2011 年度 実績報告書

応力逆解析法の基本原理の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21740364
研究機関京都大学

研究代表者

佐藤 活志  京都大学, 理学研究科, 助教 (70509942)

キーワード断層 / 応力 / 逆解析 / 個別要素法
研究概要

応力逆解析法は多数の断層の方向から地質体の変形を支配する広域応力を推定する手法であり,構造地質学や地震学の分野で広く普及してきた.この手法は「断層の滑り方向は勢断応力と平行である」との仮説(Wallace-Bott仮説)に立脚している.本研究は数値シミュレーションと天然の断層系の観察により,この仮説の妥当性を検証した.その結果,断層の滑り方向はWallace-Bott仮説の予測よりも大きくばらつくことが示された.
本研究の数値シミュレーションでは,球形粒子の集合体として地質体を表現する個別要素法を用いた.様々な条件で地質体を変形させ,内部に生じた応力と断層の方向を記録した.計算領域全体で平均した応力を広域応力とみなし,各断層面上の剪断応力方向を算出したところ,実際の滑り方向とはズレ(ミスフィット角)があった.
Wallace-Bott仮説はミスフィット角が0°であると予測する.しかし,シミュレーション結果のミスフィット角の頻度分布には,半値幅40°程度のばらつきが見られた.また分布の裾が長く,90°を超える値もあった.
次に,天然の断層系において大きなミスフィット角が認められるか検証した.千葉県に分布する鮮新統上総層群中の小断層群の方向を測定し,応力逆解析によって東西引張の正断層性応力を得た.ただし,一部の断層のミスフィット角は大きく,90°を超えるものもあった.従来の応力逆解析研究では,慣習的にミスフィット角が30°を超える断層はその応力に合致しないと見なされ,別の応力が探索されてきた.しかし,本研究の数値シミュレーションは,一様な応力のもとでも大きなミスフィット角があってよいことを示した.上総層群の断層系は方向にばらつきがあるものの,一様応力のもとで形成された断層系と解釈できる.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Physical Meaning of Stress Difference for Fault-Slip Analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Sato, K.
    • 雑誌名

      Mathematical Geosciences

      巻: (印刷中)

    • DOI

      DOI:10.1007/s11004-012-9395-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast multiple inversion for stress analysis from fault-slip data2012

    • 著者名/発表者名
      Sato, K.
    • 雑誌名

      Computers & Geosciences

      巻: 40 ページ: 132-137

    • DOI

      DOI:10.1016/j.cageo.2011.08.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A spherical code and stress tensor inversion2012

    • 著者名/発表者名
      Yamaji,A., Sato, K.
    • 雑誌名

      Computers & Geosciences

      巻: 38 ページ: 164-167

    • DOI

      10.1016/j.cageo.2011.04.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Incremental fold test for paleostress analysis using the Hough transform inverse method2011

    • 著者名/発表者名
      Tonai, S., Sato, K. and Ashi, J.
    • 雑誌名

      Journal of Structural Geology

      巻: 33 ページ: 1158-1168

    • DOI

      DOI:10.1016/j.jsg.2011.05.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clustering of fracture orientations using a mixed Bingham distribution and its application to paleostress analysis from dike or vien2011

    • 著者名/発表者名
      Yamaji, A., Sato, K.
    • 雑誌名

      Journal of Structural Geology

      巻: 33 ページ: 1148-1157

    • DOI

      10.1016/j.jsg.2011.05.006

    • 査読あり
  • [学会発表] 応力解析のための高速多重逆解法とノイズ低減2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤活志
    • 学会等名
      日本地質学会118年学術大会
    • 発表場所
      茨城大学
    • 年月日
      2011-09-10
  • [学会発表] 応力逆解析における応力距離の重要性とその物理的意味2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤活志
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011-05-25
  • [学会発表] 断層変位センスによる応力インバージョン法と活断層データへの適用2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤活志, 堤浩之, 山路敦
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011-05-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.kueps.kyoto-u.ac.jp/~web-bs/k_sato/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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