研究課題/領域番号 |
21740365
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
青木 かおり 立正大学, 地球環境科学研究科(研究院), 研究員 (30513163)
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キーワード | テフロクロノロジー / 第四紀学 / 年代測定 |
研究概要 |
平成23年度は,平成22年に報告したとおり,操作上の問題点を解決するための作業を増やしたことで,作業時間は大幅に拡大しているものの,引き続き年代標準試料の系統誤差の算出および繰り返し計測を継続しその信頼度について検討した.また,新たな年代測定試料を用いて実験用原子炉での熱中性子線の照射実験を行うことを計画していたが,東日本大震災で破損した東海村の実験用原子炉の補修工事の経過を見守っていたところ,年度内には完了しないことが明らかになり,照射実験については中止することを余儀なくされた.そこで,現行の試料の処理方法と計測方法の効率化を図るために,作業工程を改良することに重点をおき,さらに,以前に原子炉での熱中性子線の照射実験が完了している中期更新世の火山灰と対比されるテフラを見つけるために,平成21年度に北西太平洋~ベーリング海を対象とした研究航海で採取された海底コア試料中の火山灰試料について,化学組成分析を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成22年度までの研究結果で,現行の顕微鏡システムでは操作上の問題点として,作業過程で計測ミスが発生しやすいことが明らかになっており,計測ミスを減らすための記録する工程を増やすことでミスは低減したものの,作業時間がきわめてかかる結果になっている.また,別に新たな年代測定用試料を用いて,平成23年9月までに東海村の実験用原子炉での熱中性子線の照射実験を行い,平成24年3月までに日本国内の原子炉を使った実験で年代測定が可能になるように準備する予定であったが,東日本大震災で破損した東海村の実験用原子炉の補修工事が年度内には完了しないことが平成23年の11月頃に明らかになり,原子炉を用いた新たな照射実験については中止を決定した.
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今後の研究の推進方策 |
新たな試料の熱中性子線の照射実験を中止したため,現行の年代測定用試料の処理方法と計測方法の改良に重点をおくことにした.まず,試料の前処理の効率化のために,現在使用中の顕微鏡に反射照明ユニットを装備する.また,本研究以前にすでに年代測定をしたことがある北西太平洋の火山灰試料の再測定に取り組み,その年代測定の精度を検討する.さらに,海底コア中の火山灰試料は,他の放射年代測定法や微化石層序年代等から得られる年代情報とクロスチェックができる可能性があることから,平成21年度に採取した海底コア試料中の火山灰の化学分析を行い,本研究で年代測定を行う火山灰試料に対比される火山灰層を探す.
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