研究概要 |
本研究で、ITP-FT法およびDC-FT法による年代測定のための顕微鏡システムを導入し,年代標準試料の系統誤差の算出および繰り返し計測を継続しその信頼度を検討した.反射光を用いることで,測定対象となるフィッション・トラックの形状が鮮明になったことから、トラックの大きさを計測する作業の効率があがり、さらに測定精度が向上した.ITP-FT法およびDC-FT法で新たに年代測定を行ったテフラについて、その年代測定値の精度と他の年代測定値との比較に基づいて年代の確度について検討をする必要があるため、平成21年度に北西太平洋~ベーリング海を対象とした研究航海で採取された海底コア試料中のテフラ試料(138試料)について、化学組成分析を行った。現在、それらの分析値を精査して、上記の年代測定を行うテフラ試料と対比される可能性のあるテフラの有無を検討しているところである。これまでのところ、北西太平洋におけるテフラの層序と放射年代値や海底堆積物の酸素同位対比層序や生物相序等と比較したところ、ITP-FT法およびDC-FT法による中期更新世火山灰(テフラ)の火山ガラスのフィッション・トラック年代測定は整合的であり、本方法は火山ガラスの年代測定を行う上できわめて有為な方法であると考えられる。
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