研究概要 |
微小領域の炭酸塩安定同位体分析を活用して,新たな研究対象を用いた研究を積極的に推進すると同時に,新たな環境指標構築に向けた応用研究を開始した. 本年度は,これまで分析することができなかった微細な有孔虫殻の酸素・炭素安定同位体比を個体毎に測定し,この炭素酸素安定同位体組成に炭酸塩重量の要素を加えた3要素を用いて殻成長過程の同位体組成の変化を解明する試みを開始している.これまで成長段階による同位体組成の変化を明確に調べるためには,殻の成長部位を物理的に分離して分析する方法が一般的であった.しかし,本研究では分析毎に炭酸塩重量を高感度で定量できる特性を活用し,ある時期に形成された殻の同位体組成のみを推定することができるようになった.これは,ある成長段階における平均的な同位体組成と殻重量を定量したうえで,その後一定期間に成長した殻の同位体組成を個体毎に仮想的に導き出す手法による.この研究手法は従来法に比べて信頼度の高い分析結果を得ることができることがわかってきている.
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