岐阜県舟伏山地域に分布する黒色粘土岩層から前期三畳紀Induanの最前期を示すHindeodus parvusおよびHindeodus typicalisの自然集合体が得られた。これらの集合体にもとづきHindeodus属コノドントの器官復元を行ったところ、これらの器官は合計13個のエレメントから構成されることが明らかとなった。また堆積課程の考察から、これらのコノドントは遠洋・深海域の海底面近くに生息し、死後直接堆積物中に埋没したことが明らかになった。栃木県秋山川上流地域における研究では、前期三畳紀Olenekianのコノドントエレメントが密集したコノドント集積層が発見された。コノドントの古生態および岩相解析にもとづく考察から、前期三畳紀の遠洋域では貧酸素状態が生じ、しばしば深海あるいは中層まで発達していたことが結論づけられた。
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